殴り書き読書ぶろぐ-ネタバレもあるよ-

基本的に読書ブログの予定です。本以外のことも書きます。

又吉直樹・田中象雨「新・四字熟語」―とにかく軽く読めて面白い本が読みたくて―

 

SAWAです。

 

皆さんは、又吉直樹さんと田中象雨さんの「新・四字熟語」という本を御存じでしょうか。

 

この本では、芸人の又吉直樹さんが新しく考えた120の四字熟語とその意味、用例を紹介しており、その横には、書道家の田中象雨が書いた書があります。単行本では「鈴虫炒飯」という題だったのですが、文庫化にあたって「新・四字熟語」と改題されました。田中さんによる書は、それぞれの四字熟語の意味を表すような字体で表現されていて、見ごたえがあります。

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こういう感じです。

 

以下、この中で私が気に入っている四字熟語をいくつかご紹介します。

•神様嘔吐

神様が嘔吐するほど救いようが無いありさま。また、俗物の低俗な願いを神が聞き、吐き気を催す様子。

用例:『この際友達は全員落ちていい、だが俺だけを合格させてくれ』なんて神様嘔吐もはなはだしい。

•放屁和解

凄まじい喧嘩をしていたのに、どちらか、あるいは第三者が屁をこいてしまいどちらともなく笑ってしまい、気持ちが収まること。屁に救われること。しょうもないことが、時には大きな何かを解決することもある。

•全力保養

保養に全力を尽くし過ぎて、逆に疲れてしまうこと。

用例:久々の休みだったので、朝から、エステに行き、その後スーパー銭湯に行き、マッサージにも行き、酸素カプセルにも入りました。全力保養と言うやつでしょうか、めっちゃしんどいです。

•毅然堕落

全く動じず、落ち着き払った様子なのだが、確実に悪い状態に向かっている。一見、紳士的ではあるが、もっと必死に抗えば何とかなりそうなのにと、端から見ると歯痒い状態。

・月光心猿

月明かりに照らされた途端、心の中で猿が暴れるように、なにか行動を起こしたいという衝動に駆られること。

迷い、悩み、苦しみ、立ち止まっていた人間が、ひょんなことに刺激を受け、動き出すそうな『今』というあの感じ。

 

又吉さんの作る四字熟語は、芸人さんらしく、ふふっと笑えるものが多くありながら、「月光心猿」のように、「日常でふと訪れる心の動き」をうまく捉えて表現したものもあり、文学の香りを感じることもできます。この本が出版された時は、又吉さんはまだ火花を執筆されていませんが、その片鱗が見えるような気がします。ただ、鈴虫炒飯(噛むと鈴虫の鳴き声のように美しい音が響く炒飯)はよくわかりませんでした。字面からして単純になんかまずそう。

創作四字熟語というジャンルの奥深さと可能性を感じられる一冊でしたので、もっといろいろな人に四字熟語を作ってもらっても面白そうですね。後に出版された又吉さんの新書「夜を乗り越える」にも、この本についてのエピソードが載っていますので、併せて読んでみても楽しめると思います。
 

役に立つ実用書や読みごたえのある重厚な小説も良いですが、時には軽いエッセイや、施川ユウキ「バーナード嬢曰く」でも紹介されていた「さまぁ~ずの悲しいダジャレ」のように、何も考えずにゆるく読めて楽しめる本も良いですよね。ちなみに「悲しいダジャレ」は私も読みましたが、さまぁ〜ずさんはやっぱり天才だと思いました。

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大好きだぁあ~~~

 

私は最近、漫画でもギャグマンガばかり読み、Youtubeではコントばかり観ています。疲れているのでしょうか。

私においては日常に気がかりなことが多く、実生活に笑いや楽しみが乏しい人が、ゾンビのように虚構に笑いを求めている様といった感じですね。又吉さんなら、この状態をなんと四字熟語で表現するのでしょうか。

破顔切望とかでしょうか。若手芸人が鉢巻きに書いてそうですね。「破」と「切望」に、切羽詰まっている感じが出ていて良いのではないかと自画自賛しておきます。

 

ちなみに私が今、気がかりなことの一つは、炊飯器の調子が悪いことです。空腹時に炊飯器を開けて米が生煮えだと、生きる気力を失いかけます。洗濯機や電子レンジが壊れるよりはまだ良いのですが。家電を買い替えるのって、なかなか手間がかかって大変ですよね。

 

 

お読み頂き、ありがとうございました。