殴り書き読書ぶろぐ-ネタバレもあるよ-

基本的に読書ブログの予定です。本以外のことも書きます。

又吉直樹・田中象雨「新・四字熟語」―とにかく軽く読めて面白い本が読みたくて―

 

SAWAです。

 

皆さんは、又吉直樹さんと田中象雨さんの「新・四字熟語」という本を御存じでしょうか。

 

この本では、芸人の又吉直樹さんが新しく考えた120の四字熟語とその意味、用例を紹介しており、その横には、書道家の田中象雨が書いた書があります。単行本では「鈴虫炒飯」という題だったのですが、文庫化にあたって「新・四字熟語」と改題されました。田中さんによる書は、それぞれの四字熟語の意味を表すような字体で表現されていて、見ごたえがあります。

f:id:sawayoshi:20181111160546j:image

こういう感じです。

 

以下、この中で私が気に入っている四字熟語をいくつかご紹介します。

•神様嘔吐

神様が嘔吐するほど救いようが無いありさま。また、俗物の低俗な願いを神が聞き、吐き気を催す様子。

用例:『この際友達は全員落ちていい、だが俺だけを合格させてくれ』なんて神様嘔吐もはなはだしい。

•放屁和解

凄まじい喧嘩をしていたのに、どちらか、あるいは第三者が屁をこいてしまいどちらともなく笑ってしまい、気持ちが収まること。屁に救われること。しょうもないことが、時には大きな何かを解決することもある。

•全力保養

保養に全力を尽くし過ぎて、逆に疲れてしまうこと。

用例:久々の休みだったので、朝から、エステに行き、その後スーパー銭湯に行き、マッサージにも行き、酸素カプセルにも入りました。全力保養と言うやつでしょうか、めっちゃしんどいです。

•毅然堕落

全く動じず、落ち着き払った様子なのだが、確実に悪い状態に向かっている。一見、紳士的ではあるが、もっと必死に抗えば何とかなりそうなのにと、端から見ると歯痒い状態。

・月光心猿

月明かりに照らされた途端、心の中で猿が暴れるように、なにか行動を起こしたいという衝動に駆られること。

迷い、悩み、苦しみ、立ち止まっていた人間が、ひょんなことに刺激を受け、動き出すそうな『今』というあの感じ。

 

又吉さんの作る四字熟語は、芸人さんらしく、ふふっと笑えるものが多くありながら、「月光心猿」のように、「日常でふと訪れる心の動き」をうまく捉えて表現したものもあり、文学の香りを感じることもできます。この本が出版された時は、又吉さんはまだ火花を執筆されていませんが、その片鱗が見えるような気がします。ただ、鈴虫炒飯(噛むと鈴虫の鳴き声のように美しい音が響く炒飯)はよくわかりませんでした。字面からして単純になんかまずそう。

創作四字熟語というジャンルの奥深さと可能性を感じられる一冊でしたので、もっといろいろな人に四字熟語を作ってもらっても面白そうですね。後に出版された又吉さんの新書「夜を乗り越える」にも、この本についてのエピソードが載っていますので、併せて読んでみても楽しめると思います。
 

役に立つ実用書や読みごたえのある重厚な小説も良いですが、時には軽いエッセイや、施川ユウキ「バーナード嬢曰く」でも紹介されていた「さまぁ~ずの悲しいダジャレ」のように、何も考えずにゆるく読めて楽しめる本も良いですよね。ちなみに「悲しいダジャレ」は私も読みましたが、さまぁ〜ずさんはやっぱり天才だと思いました。

f:id:sawayoshi:20181111013844p:image

大好きだぁあ~~~

 

私は最近、漫画でもギャグマンガばかり読み、Youtubeではコントばかり観ています。疲れているのでしょうか。

私においては日常に気がかりなことが多く、実生活に笑いや楽しみが乏しい人が、ゾンビのように虚構に笑いを求めている様といった感じですね。又吉さんなら、この状態をなんと四字熟語で表現するのでしょうか。

破顔切望とかでしょうか。若手芸人が鉢巻きに書いてそうですね。「破」と「切望」に、切羽詰まっている感じが出ていて良いのではないかと自画自賛しておきます。

 

ちなみに私が今、気がかりなことの一つは、炊飯器の調子が悪いことです。空腹時に炊飯器を開けて米が生煮えだと、生きる気力を失いかけます。洗濯機や電子レンジが壊れるよりはまだ良いのですが。家電を買い替えるのって、なかなか手間がかかって大変ですよね。

 

 

お読み頂き、ありがとうございました。

ファイアーエムブレム覚醒の恋愛における軍師の裁量と悲哀

SAWAです。

 

皆さんは、ファイアーエムブレムというゲームを御存じでしょうか。

 

このゲームのシステムを簡単に言うと、1ターンごとにチェスのように自軍のキャラクターを移動させ、相手の軍の敵を倒していくというものです。

 1990年から続いているシリーズで、来年の春にはswitchで新作が出るらしいです。

 

私は大学生のころ、3DSソフトの「ファイアーエムブレム覚醒」にとてもハマっていました。

これは、記憶喪失で行き倒れていた主人公が、通りがかりのとある自警団に拾われ、そこで軍師として活動していくというハチャメチャな設定なのですが、特徴的なシステムとして、絆システムというものがあります。

これは、キャラクターを隣どおしで戦わせることにより、友好度が上がっていき、友好度が高くなるにしたがって相手への支援効果が高くなる。つまり、好きな人が隣にいると、強くなれる。というACジャパンが言っていそうなキャッチコピーのそれがあります。また、友好度が最大値まで上がった異性のキャラクター同士は結婚イベントが起こります。

 

私は主人公を男性キャラクター、難易度はノーマルでプレイし始めたのですが、自警団のリーダーであるクロムと主人公がツートップという感じの強さで、他の仲間は似たり寄ったりでした。

そこで私は、主人公とクロムがペアで先陣を切って道を開き、他の仲間は固まって周りの雑魚敵を片付けながらついてくるという戦略をとっていました。

 

そうすると、主人公はクロムとばかり仲良くなって、他の仲間との接点がそんなになくなるんですよね。正直、女子とは回復魔法をかけてもらう時くらいしか関わりませんでした。教科書を忘れて隣の席の女子に見せてもらう時しか女子と話さない男子中高校生のようですね。

 

私は特に気に留めることもなく戦闘に邁進していたのですが、ストーリーを進めるに従って、どんどん他の仲間が結婚していくのを微笑ましく思いながら、だんだん主人公も女の子と結婚させてあげたいなと思うようになりました。(クロムはストーリー進行の都合で、結婚する友好度まで達している女性キャラクターがいなかったとしても、ある章で、自警団の中で一番友好度の高い女性キャラクターと自動的に結婚します。唐突すぎて驚きました。

 

もうストーリーは終章少し前といったところで結婚を意識し始めた私は、いきなり主人公の隣に、自分が一番かわいいと思う踊り子の女の子をつけて戦わせるようになりました。

この子です。オリヴィエといいます。




オリヴィエは自警団に初めからいたキャラクターではなく、途中から仲間になるキャラクターで、あまり戦闘に参加させていなかったこともあり、全く強くないのですが、「ダブル」という「ペアになった相手のサポートだけをして敵の攻撃は受けない」という方法をとることによって、相変わらず最前線にいる主人公の隣にいさせていました。ダブルを外したらオリヴィエは即死します。

主人公はこの頃べらぼうに強くなっていて、オリヴィエのサポートがなくても全く影響はありません。完全に、かわいいから横に置いているだけです。

 

しばらくそういう状態でゲームをプレイしていたのですが、ふと、

今やってること、相当ヤバくないか?

と思い始めました。

 

記憶を失って行き倒れていた自分を助けてくれた、昔から協力して戦ってきた仲間と結婚する訳でもなく、軍師という己の立場を利用し、新参の、特に戦闘に役に立つ訳でもない顔がかわいい踊り子の女を、仲良くなって結婚したいがために隣に置き続ける...

 

絆システムとは一体なんだったのか。

 

これ、私が作った主人公のビジュアルが可愛い系の少年だからまだ見られますが、いかつめのオッサンだったとしたら、相当嫌な感じになりますね。はたから見ると、アイドルに枕を迫る事務所の社長と同じような構図です。違うか。

 

この、軍師の下心意図がバレバレな戦略について、周りの仲間はどういう気持ちで見ているんでしょうか。「...まぁ、ここまで軍を率いてきたという実績があるから、大目に見ようか」といったところでしょうか。加えて、オリヴィエのキャラクターデザインが基本困り顔というところがまた、何かを物語っているような気がしてなりません。

 

私が我に返ることさえなければ、最後まで楽しくゲームを進められたのかもしれませんが、リンゴを齧る前のイブに戻ることはできないということですね。

 

学生時代に女性にモテなかった男性は、手に入れた金と権力によって女性にモテるようになった途端、一生女遊びをし続けるという話を小耳に挟んだことがあります。私の主人公は、自警団に拾われた恩返しをするために、常に最前線でがむしゃらに戦い続けた結果として婚期を逃し、しかも恋愛経験もろくにないため、周りの目に配慮することができずに困り顔の踊り子を隣に置き続けてしまうという不器用な人間です。

 

このことから一つ言えるのは、

人生は楽しむためにあるのだから、何事もほどほどに。

ということでしょうか。

 

でも私は、そういう不器用な人のほうが好きです。

 

 

余談ですが、この「ファイアーエムブレム覚醒」の後に販売された「ファイアーエムブレムif」においては、主人公は同性婚ができるというシステムが導入されたそうです。このシステムが「覚醒」にもあれば、クロムはストーリー進行の都合で好きでもない女と結婚して子供を作ることもなく、私は無理くり踊り子と仲良くなろうと奮闘してなどいなかったのでしょう。戦いの中で自然に深まる絆って、素敵だと思います。

 

 

読んでくれてありがとうございました。

 

 

<a href="//game.blogmura.com/ranking.html"><img src="//game.blogmura.com/img/game88_31.gif" width="88" height="31" border="0" alt="にほんブログ村 ゲームブログへ" /></a><br /><a href="//game.blogmura.com/ranking.html">にほんブログ村</a>