ファイアーエムブレム覚醒の恋愛における軍師の裁量と悲哀
SAWAです。
皆さんは、ファイアーエムブレムというゲームを御存じでしょうか。
このゲームのシステムを簡単に言うと、1ターンごとにチェスのように自軍のキャラクターを移動させ、相手の軍の敵を倒していくというものです。
1990年から続いているシリーズで、来年の春にはswitchで新作が出るらしいです。
私は大学生のころ、3DSソフトの「ファイアーエムブレム覚醒」にとてもハマっていました。
これは、記憶喪失で行き倒れていた主人公が、通りがかりのとある自警団に拾われ、そこで軍師として活動していくというハチャメチャな設定なのですが、特徴的なシステムとして、絆システムというものがあります。
これは、キャラクターを隣どおしで戦わせることにより、友好度が上がっていき、友好度が高くなるにしたがって相手への支援効果が高くなる。つまり、好きな人が隣にいると、強くなれる。というACジャパンが言っていそうなキャッチコピーのそれがあります。また、友好度が最大値まで上がった異性のキャラクター同士は結婚イベントが起こります。
私は主人公を男性キャラクター、難易度はノーマルでプレイし始めたのですが、自警団のリーダーであるクロムと主人公がツートップという感じの強さで、他の仲間は似たり寄ったりでした。
そこで私は、主人公とクロムがペアで先陣を切って道を開き、他の仲間は固まって周りの雑魚敵を片付けながらついてくるという戦略をとっていました。
そうすると、主人公はクロムとばかり仲良くなって、他の仲間との接点がそんなになくなるんですよね。正直、女子とは回復魔法をかけてもらう時くらいしか関わりませんでした。教科書を忘れて隣の席の女子に見せてもらう時しか女子と話さない男子中高校生のようですね。
私は特に気に留めることもなく戦闘に邁進していたのですが、ストーリーを進めるに従って、どんどん他の仲間が結婚していくのを微笑ましく思いながら、だんだん主人公も女の子と結婚させてあげたいなと思うようになりました。(クロムはストーリー進行の都合で、結婚する友好度まで達している女性キャラクターがいなかったとしても、ある章で、自警団の中で一番友好度の高い女性キャラクターと自動的に結婚します。唐突すぎて驚きました。)
もうストーリーは終章少し前といったところで結婚を意識し始めた私は、いきなり主人公の隣に、自分が一番かわいいと思う踊り子の女の子をつけて戦わせるようになりました。
この子です。オリヴィエといいます。
オリヴィエは自警団に初めからいたキャラクターではなく、途中から仲間になるキャラクターで、あまり戦闘に参加させていなかったこともあり、全く強くないのですが、「ダブル」という「ペアになった相手のサポートだけをして敵の攻撃は受けない」という方法をとることによって、相変わらず最前線にいる主人公の隣にいさせていました。ダブルを外したらオリヴィエは即死します。
主人公はこの頃べらぼうに強くなっていて、オリヴィエのサポートがなくても全く影響はありません。完全に、かわいいから横に置いているだけです。
しばらくそういう状態でゲームをプレイしていたのですが、ふと、
今やってること、相当ヤバくないか?
と思い始めました。
記憶を失って行き倒れていた自分を助けてくれた、昔から協力して戦ってきた仲間と結婚する訳でもなく、軍師という己の立場を利用し、新参の、特に戦闘に役に立つ訳でもない顔がかわいい踊り子の女を、仲良くなって結婚したいがために隣に置き続ける...
絆システムとは一体なんだったのか。
これ、私が作った主人公のビジュアルが可愛い系の少年だからまだ見られますが、いかつめのオッサンだったとしたら、相当嫌な感じになりますね。はたから見ると、アイドルに枕を迫る事務所の社長と同じような構図です。違うか。
この、軍師の下心意図がバレバレな戦略について、周りの仲間はどういう気持ちで見ているんでしょうか。「...まぁ、ここまで軍を率いてきたという実績があるから、大目に見ようか」といったところでしょうか。加えて、オリヴィエのキャラクターデザインが基本困り顔というところがまた、何かを物語っているような気がしてなりません。
私が我に返ることさえなければ、最後まで楽しくゲームを進められたのかもしれませんが、リンゴを齧る前のイブに戻ることはできないということですね。
学生時代に女性にモテなかった男性は、手に入れた金と権力によって女性にモテるようになった途端、一生女遊びをし続けるという話を小耳に挟んだことがあります。私の主人公は、自警団に拾われた恩返しをするために、常に最前線でがむしゃらに戦い続けた結果として婚期を逃し、しかも恋愛経験もろくにないため、周りの目に配慮することができずに困り顔の踊り子を隣に置き続けてしまうという不器用な人間です。
このことから一つ言えるのは、
人生は楽しむためにあるのだから、何事もほどほどに。
ということでしょうか。
でも私は、そういう不器用な人のほうが好きです。
余談ですが、この「ファイアーエムブレム覚醒」の後に販売された「ファイアーエムブレムif」においては、主人公は同性婚ができるというシステムが導入されたそうです。このシステムが「覚醒」にもあれば、クロムはストーリー進行の都合で好きでもない女と結婚して子供を作ることもなく、私は無理くり踊り子と仲良くなろうと奮闘してなどいなかったのでしょう。戦いの中で自然に深まる絆って、素敵だと思います。
読んでくれてありがとうございました。
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